ボランティアと労働者の違いって何?

東京オリンピックのボランティアがどんだけブラック企業なんだということが話題になっています。

必ず受けなければいけない事前研修も含めて、すべて費用は自己負担ということで、どんだけブラック企業並の待遇なだと話題になっています。

でもこれって、本当にオリンピック準備委員会が悪いのでしょうか。

諸外国では、手当をもらえるボランティアもいるようですが、なんで日本ではボランティアは手当をもらえないのが一般的なんでしょうか。

ボランティアとは?

そもそもボランティアの意義とはなんでしょうか。

Wikipediaでは、以下のような定義がみられます。

日本において、ボランティアとは一般的に、自発的に他人・社会に奉仕する人または活動を指す。ボランティア活動の基本理念は、公共性、自発性、無償性、先駆性である。ボランティア活動において、交通費や実費、その他経費を受け取る活動を有償ボランティアと称する例も存在する。

英語としてのボランティアは、必ずしも無償ではないようですが、日本では無償であることが求められるのが一般的です。

場合によっては、災害時のボランティアで、被災地の機体に答えられず、逆に被災地から非難を受けるようなボランティアも存在することがあります。

ボランティアにも見返りがある欧米

欧米などでは、学校の単位がもらえたり、犯罪者の減刑の手段としてもちられることがあるなど、ボランティアは見返りがあるものとして捉えられているようです。

しかしながら日本では、「ボランティア活動の基本理念は、公共性、自発性、無償性、先駆性」となっていることから、欧米でいうところのチャリティ、つまり「慈愛・博愛・同胞愛または慈善の精神に基づいて行われる」ものです。

チャリティにおいても欧米では宗教的背景を持つものが多いのに比べて、日本では極めて宗教性は薄められ、個人的に活動する人が極めて多いことが特徴です。

ボランティアと労働者の違い

この状況で、例えば災害地の場合、高度な専門性をもつプロフェッショナルと個人で素人で無償で働いているボランティアの二種類のパワーがあります。

高度に専門的なプロフェッショナルは賃金をもらっていて、誰でもできる仕事をする素人はボランティアとして無償で働いているのが現状です。

二種類のパワーがあるという面では、企業活動と似ていて、会社の経営陣と従業員とに分けられます。

この場合、どちらも給料をもらって働いています。

被災地の復旧活動は、本来は行政が有償で業者と契約し対応すべきところ、早急な復旧には膨大なパワーが必要なことから、行政の予算を大きく上回る費用が必要であることから、ボランティアを導入することにより、なるべく早く復旧することが目的となっています。

オリンピックは「災害」か?

したがってボランティアは、災害のように当初想定を上回る規模の作業が発生した時に、なるべく安価に対処するための手段として導入されていることがわかります。

しかし、東京オリンピックの場合は、災害のように当初予定を上回るほどの作業が発生しているのでしょうか。

災害ではありませんから、当初から必要な労働力は想定されていたはずであり、それを見越して予算を立ててこなかったから、もしくはできる限り予算を低くしたいという思惑からボランティアを大量導入することは、日本のボランティアの精神からは大きく外れているように思えます。

有償でオリンピックの運営に携わる人もいる

しかも、オリンピック委員会や協賛企業の社員は給料をもらってオリンピック運営に関わっていることを考えると、ますます持ってボランティアが無償であることに意義がわからなくなってしまいます。

有償ボランティアの問題

では、180度方針を変更し、ボランティアに手当を払おうと考えた場合、本当に問題はないのでしょうか。

いくらボランティアといっても、作業に対する対価をもらった場合は、労働者との区別が付きづらくなってしまいます。

例え、研修や作業のために宿泊代や交通費が必要になったとして、その実費を支払ったとしても、その費用を本当にボランティアに必要な費用であって給料でないことを証明することはかなり厄介な気がします。

給料でないとするためには、宿泊費や交通費が適正な目的に使われなければならず、研修や作業の合間にせっかく東京にきたのだから観光しようとかオリンピックを見て帰ろうとかなった場合に、宿泊費や交通費は、ボランティアの利益の一部に貢献していると非難される可能性もあります。

手当をもらえるボランティアの場合、費用が極端に低い場合は、最低賃金の問題がないがしろにされる可能性も考えなければなりません。

オリンピックで優勝ボランティアが認められれば、それは過去の実績となるでしょう。

ですから、経営者はなるべく安い労働力を確保するために、多くのボランティアを募集するようになる可能性も考えられます。

そうすると、本来適切な給料で雇われるべき人たちの雇用の機会を奪っていると言えるのです。

まとめ

全然まとめにならないんですが、ボランティアを有償にする事もいろいろな意味で難しそうです。

また、災害などの突発的事案でない限り、ボランティアなどを無償で使うのも、これまたおかしいような気がします。

やもすると、ボランティアは、様々なところで超低賃金の労働力として使われる可能性をはらんでいるものの、法律的にはボランティアと労働者との線引きがうまくいっていないので、現時点では慎重な対応が必要としか言えません。

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